第2章-10 データにフィルターをつける

Excel
Excelフィルター機能 インタラクティブガイド

📊データにフィルターをつける

Part 1: フィルターの基本をマスターしよう

何事も基礎が肝心です。ここでは、フィルター機能の核となる操作をシミュレーションで体験します。

フィルター操作シミュレーション

下の表は売上データです。「フィルターを設定」ボタンでフィルターを有効にし、「支店」列で「東京」のみを表示する操作を体験してみましょう。データは消えるのではなく「非表示」になるだけであること、行番号が青くなる様子に注目してください。

行番号 日付 支店 担当者 売上
2 2025-06-10 東京 田中 150,000
3 2025-06-11 大阪 鈴木 80,000
4 2025-06-12 東京 佐藤 220,000
5 2025-06-12 福岡 高橋 95,000
6 2025-06-13 大阪 伊藤 110,000

Part 2: データ型に応じた多彩なフィルター術

Excelはデータ型を賢く認識します。テキスト、数値、日付、色フィルターの強力な機能を体験しましょう。

テキストフィルター

商品名に特定のキーワードを含むデータを検索します。検索ボックスに「ペン」と入力してみてください。Excelの検索ボックスは、デフォルトで「含む」検索として機能します。

商品コード商品名カテゴリ
A-001ジェットストリーム ボールペン筆記具
B-002キャンパスノート 5冊パックノート
A-003フリクション 3色ボールペン筆記具
C-004ホッチキス文具
A-005マッキー(黒)ペン

数値フィルター

条件に合う数値を絞り込みます。「トップテン」機能の強力さを体験しましょう。「売上上位2件」や「在庫下位3件」などを抽出できます。

担当者売上在庫数
佐藤250,00015
鈴木180,0008
高橋320,00022
田中95,0003
伊藤210,00030

日付フィルター

動的な期間指定は非常に便利です。「今月」「先月」のような相対的な期間を選ぶと、手動で日付を更新する必要がなくなります。今日は2025年6月18日と仮定します。

タスク名期限日
5月度レポート提出2025-05-15
プロジェクトAキックオフ2025-06-05
会議資料準備2025-06-20
クライアント訪問2025-06-25
7月度計画策定2025-07-01

色フィルター

条件付き書式と組み合わせることで威力を発揮します。ここでは「ステータスが”要確認”の行が赤色にハイライトされている」と仮定します。色でフィルターしてみましょう。

フィルター対象の色:
プロジェクト名担当者ステータス
Webサイトリニューアル佐藤要確認
新製品カタログ作成鈴木順調
顧客満足度調査高橋遅延
社内システム移行田中完了
マーケティング戦略立案伊藤要確認

Part 3: フィルターを使いこなす応用テクニック

フィルター機能の進化形、スライサーとFILTER関数。インタラクティブなダッシュボード作成や動的レポートの鍵を握るツールです。

進化形① スライサー:対話型リモコン

スライサーは、データのための「対話型リモコン」です。現在のフィルター状態が一目でわかり、クリックするだけで即座に結果が反映されるため、Excelに不慣れな人でも直感的にデータを探索できます。

カテゴリ:
価格帯:
商品名カテゴリ価格
ジェットストリーム筆記具150
キャンパスノートノート200
フリクション筆記具250
ホッチキス文具500
リングノートノート300
高級はさみ文具800

注目ポイント

  • 同じスライサー内で複数選択すると「OR条件」(例: 筆記具 または ノート)になります。
  • 異なるスライサーで選択すると「AND条件」(例: 筆記具 かつ 201~400円)になります。
  • ボタンを見るだけで、今どの条件で絞り込まれているかが一目瞭然です。

進化形② FILTER関数

数式でデータを抽出する最新の機能。元のデータを一切変更せず、動的なレポートを作成します。下の条件を変更して、結果が自動で更新される様子を見てみましょう。

=FILTER(データ範囲, , “該当なし”)

商品名カテゴリ価格

Part 4: プロフェッショナルのためのフィルター作法

フィルター操作に慣れてきたら、次のステップへ。絞り込んだデータを活用するための、実践的なテクニックを2つ紹介します。

技① フィルター結果だけを合計する

フィルターで絞り込んだ後、その合計値を計算したい場面は頻繁にあります。しかし、通常のSUM関数では非表示の行も合計してしまいます。ここで役立つのがSUBTOTAL関数です。

支店売上
東京150,000
大阪80,000
東京220,000
大阪110,000

通常のSUM関数

560,000

SUBTOTAL関数

560,000

注目ポイント:フィルターをかけるとSUBTOTALの合計値だけが変化します。これは=SUBTOTAL(109, 範囲)のように、最初の引数に109(合計・非表示を無視)を指定しているためです。

技② フィルター結果を安全にコピーする

フィルターで絞り込んだ部分だけをコピーして、別のシートに貼り付けたいのに、非表示の行までコピーされてしまった経験はありませんか?これを防ぐには「可視セル」を選択するテクニックを使います。

ステップ1:まず、下のボタンでデータを絞り込みます。

ステップ2:次に、フィルター後の範囲(A1:B4など)を選択したと想像してください。

ステップ3:ここで魔法のショートカットAlt + ; を押すと、「見えているセル」だけが選択状態になります。下のボタンでシミュレートしてみましょう。

商品名カテゴリ
ジェットストリーム筆記具
キャンパスノートノート
フリクション筆記具
リングノートノート

Part 5: オートフィルター、FILTER関数、スライサーの使い分け

どのツールをいつ使うべきか?あなたの「目的」に最適なツールを見つけるためのインタラクティブガイドです。下の目的をクリックしてください。

オートフィルター

元のデータを直接非表示にして絞り込む、最も基本的な機能。

FILTER関数

数式で条件に合うデータを別場所に抽出。動的なリストを作成。

スライサー

テーブルやピボットテーブル用の視覚的なフィルターボタン。

困ったときのトラブルシューティング&FAQ

よくある質問と、その解決策をまとめました。

Q. フィルターがグレーアウトして押せません!

原因① 複数シートの選択: Excelは複数のシートを同時にフィルターできません。画面下のシートタブが複数白くなっていませんか?

原因② シートの保護: シートが保護されていると、編集機能(フィルター含む)が制限されます。

解決策①: 選択中のシートタブを右クリックし「シートのグループ解除」を選びます。

解決策②: 「校閲」タブから「シート保護の解除」を実行します(パスワードが必要な場合があります)。

Q. データの一部にしかフィルターがかかりません!

原因: データの途中に完全な空白行や列があると、Excelがそこでデータ範囲が終わりだと誤認してしまいます。

解決策: 最善の策は、データを「テーブル」(Ctrl+T)に変換することです。テーブルはデータ範囲を自動で管理するため、この問題が根本的に解決します。一時的な対処法としては、フィルターをかける前にデータ範囲全体を手動で選択します。

Q. 並べ替えがおかしくなります!

原因① 数値が文字列扱い: 見た目は数字でも、Excelが文字列として認識している可能性があります(例: ‘100)。この場合、「1, 10, 2, 20」のように文字コード順で並びます。

原因② セルの結合: 結合されたセルがあると、Excelは行を正しく認識できず、並べ替えができません。

解決策①: 対象列を選択し、エラーチェック(緑の三角)から「数値に変換」を選ぶか、`VALUE`関数を使います。

解決策②: 並べ替えを行う前に、必ずセル結合をすべて解除してください。

Q. フィルターしたらデータが消えたように見えます…

ご安心ください、正常な動作です! データは削除されたのではなく「非表示」になっているだけです。これは初心者が最も驚くポイントです。

確認方法: 2つのサインを探してください。
1. 左側の行番号が青色に変わっている。
2. 見出しの矢印が漏斗(じょうご)マークに変わっている。

元に戻すには: 「データ」タブの「クリア」ボタンで、全てのデータを再表示できます。

© 2025 PCスキル工場. All Rights Reserved.

コメント

タイトルとURLをコピーしました