第4章-3 複数のシートを使い分ける方法

Excel
【新版】インタラクティブExcelシート活用術:データ管理を劇的に変える全手法

複数のシートを使い分ける方法

最初に学ぶ関数の早見表

このガイドでは、以下の便利な関数や機能について学びます。どんなことができるのか、最初に確認してみましょう。

関数名 役割 関数の構成(例)
基本参照 別のシートのセルの値を直接持ってくる。 =シート名!セル番地
3D参照 (串刺し集計) 同じ形の複数シートをまとめて合計する。 =SUM(開始シート:終了シート!セル番地)
XLOOKUP 指定した値をキーにして、別表から関連データを見つけてくる。 =XLOOKUP(探す値, 探す列, 持ってきたい列)
テーブル参照 テーブル内の特定の列全体を参照する。データが増えても自動で範囲が伸びる。 =SUM(テーブル名[列名])
INDIRECT セルの値に応じて、参照するシートや場所を動的に変える。 =INDIRECT("'"&A1&"'!B2")
HYPERLINK クリックすると指定した場所にジャンプするリンクを作る。 =HYPERLINK("#'シート名'!A1", "表示文字")

はじめに:基本の考え方

Excelがうまくならない原因は、1枚のシートに全部書こうとすることです。「入力用」「計算用」「見た目用」のように、シートを分けるだけで、ミスが減ってとても使いやすくなります。この考え方が一番大切です。

上手な人のシート整理術:3つの役割

上手な人は、シートを役割で分けています。データを守り、間違いをなくすためです。下の3つの役割を確認してみましょう。

第3層: 見せる用シート

グラフやまとめの表など、他の人に見せるためのシートです。キレイで見やすいのが特徴です。

第2層: 計算用シート

集計や複雑な計算をするための、裏方のシートです。普段は非表示にしておきます。

第1層: 元データ用シート

元のデータを、何もいじらずにそのまま置いておく場所です。一番大事な「大元」のデータです。

シートの基本操作

難しい技の前に、まずは基本の操作を覚えましょう。毎月の報告書などがラクになる「原本シート」という便利な使い方も紹介します。

基本コマンド

  • 追加: シートタブ右の「+」をクリック。
  • 名前変更: シートタブをダブルクリック。
  • 移動: シートタブをドラッグ&ドロップ。
  • コピー: `Ctrl`キーを押しながらドラッグ。
  • 色分け: タブを右クリックして色を付ける。

「原本シート」メソッド

毎月作る報告書など、同じ形の書類作りにピッタリです。

  1. 完璧な形の「原本」シートを1つ作る。
  2. 新しい月が来たら、「原本」をコピーする。
  3. コピーしたシートの名前を変えて使うだけ!

これで、形がくずれず、ミスなく早く作れます。

複数シートの合計(串刺し集計)

4月、5月、6月…と同じ形のシートがたくさんある時、全部まとめて合計するのが「串刺し集計」です。後からシートを増やしても、計算式を直さなくていいので、とても便利です。

試してみよう!

下のボタンを押して、新しいシートを追加してみてください。合計売上が自動で変わるのがわかります。これが「串刺し集計」の力です。

=SUM(4月:6月!B2)
合計売上
¥0

超便利!テーブル機能

表を「テーブル」という機能に変えると、Excelがもっと賢くなります。データを追加した時に、グラフや数式が自動で更新されるようになる、とても便利な機能です。

テーブル vs 普通の表:比べてみよう

下のボタンを押して、両方にデータを追加してみてください。「テーブル機能」を使ったグラフだけが、自動で伸びるのが分かります。範囲を直し忘れるミスがなくなります。

普通の表

データ追加後もグラフは変わらない。

テーブル機能

データが自動でグラフに反映される!

=SUM(売上テーブル[金額])

テーブルなら、数式もこんなに分かりやすくなります。

操作できるレポート作成 (INDIRECT関数)

リストから「4月」を選ぶとグラフが4月分に、「5月」を選ぶと5月分にパッと切り替わる。そんな仕掛けが作れるのが `INDIRECT` という関数です。見る人が操作できるレポートが作れます。

ダッシュボードを体験しよう

下のリストから月を選んで、グラフが変わる様子を見てください。`INDIRECT` 関数が、選んだ月に合わせて見るシートを切り替えています。

=SUM(INDIRECT("'"&A1&"'!C2:C100"))

`A1`セルにリストを置いた場合の数式例です。

便利な目次の作り方

シートがたくさんあるファイルでは、最初に「目次」を作ると迷子になりません。`HYPERLINK` という関数を使えば、クリックで目的のシートへ飛べるリンクを簡単に作れます。

`HYPERLINK`関数で自動化

シート名を一覧にして、下の数式をコピーするだけで、たくさんのリンクが一瞬で完成します。`A2`セルにシート名が入っている場合の例です。

=HYPERLINK("#'"&A2&"'!A1", "移動する")

各シートに「目次へ戻る」リンクも作っておくと、さらに使いやすくなります。

実践!ダッシュボード作り

これまで学んだこと全部を使って、売上の状況がひと目でわかる「ダッシュボード」を作ってみましょう。これが複数シート活用のゴールです。

作る手順

  1. ①元データシート: 元のデータを貼り付け、すぐに**テーブル**にします。このシートは普段は隠しておきます。
  2. ②計算用シート: 元データテーブルから、**ピボットテーブル**で集計表やグラフをたくさん作ります。このシートも隠します。
  3. ③見せる用(ダッシュボード)シート: 計算用シートのグラフを移動してキレイに並べ、**スライサー**という操作ボタンを付けます。

この作り方の良いところは、後がラクなことです。新しいデータが来たら、元のデータに追加して「更新」ボタンを押すだけ。ダッシュボード全体が自動で新しくなります。

まとめ:関数 早見表

このページで紹介した、シートをまたいで使うと便利な関数や機能のまとめです。困ったときに見返してみてください。

関数名 役割 関数の構成(例)
基本参照 別のシートのセルの値を直接持ってくる。 =シート名!セル番地
3D参照 (串刺し集計) 同じ形の複数シートをまとめて合計する。 =SUM(開始シート:終了シート!セル番地)
XLOOKUP 指定した値をキーにして、別表から関連データを見つけてくる。 =XLOOKUP(探す値, 探す列, 持ってきたい列)
テーブル参照 テーブル内の特定の列全体を参照する。データが増えても自動で範囲が伸びる。 =SUM(テーブル名[列名])
INDIRECT セルの値に応じて、参照するシートや場所を動的に変える。 =INDIRECT("'"&A1&"'!B2")
HYPERLINK クリックすると指定した場所にジャンプするリンクを作る。 =HYPERLINK("#'シート名'!A1", "表示文字")

コメント

タイトルとURLをコピーしました